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Japanische Klassiker mit Furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

二

そして苦笑を湛えながら、机にのせていた肱を、窓縁へ移して、頬杖をかいながら眺め入っていた。

二

十兵衛は、いきなりお由利の手をつかんで、そして離さなかった。

茶を運んで来て、彼女が退がろうとした弾みにであった。

「あれ……そんな事を遊ばしてはいけません。……滾れます、お茶が」

「なぜ逃げる」

「逃げはいたしませんけれど」

「ならば、おとなしく、もっと寄って坐れ。話があるのだ」

「……でも。……でも」

「誰に知れても関わぬ。わしは、恋はするが、不義はせぬ。何も人目を憚ることはない。十兵衛はそちが好きだ」

「ま。……そんな」

「顫えておるな。わしがこんな片目の醜男ゆえ、恐いのか」

「いいえ。……そんなわけではございませぬが」

「然らば、返辞を聞かせい。いつぞや、十兵衛が遣わした恋歌、解けたか」

「…………」

「そちは、この十兵衛が、好きか嫌いか。好きならば好き――嫌いならば嫌いと申せ」

「……おゆるし下さいませ。手が痺れて痛うござります」

「離してやる。……だが、正直な返答をせぬうちは、ここは出さぬぞ。まだ、急な事ではないが、十兵衛はやがて諸国遍歴に出て、短くとも、ここ五、六年は帰らぬ身じゃ。