Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
三
今までは、好意に聞いていた粂之介夫婦の言葉も、そう気づいてみると、皆自分を拒む針のように思いなされて来た。
「……ばかばかしい、何でわたしは今まで」
お那珂は、夜風の暗い空を振り向いて、口惜しげに、立ち竦んだ。
三
春繭の生糸を横浜へ持って行って、専右衛門は、莫大な金を懐中にして帰って来たに違いないと、烏山で評判されていた。
「馬鹿いうなよ」
専右衛門は、自分にたかりたがっている町の者の顔を見ると、唾するようにいった。
「それやあ、秋繭の時ゃあよかったさあ。だが、いつも柳の下に鰌はいねえってやつだ。百貫目も引っ担いで行った荷が、今度あ二束三文どころか、何処の異人めも、値もつけやがらねえんだ。――なぜかって? 知れたことよ、井伊掃部頭様が殺されたじゃあねえか。港を開いて、どしどし貿易をやらせろという御方針でいらっしった大老様の首が飛んだんだ。生糸なんざ一遍にガラ落ちよ。折角、根を生やしかけた神奈川の異人館だって、今にも国へ引揚げることにでもなりゃあしねえかと、浮き腰でいるんだから、一文だって、商談なんざ成り立つわけがねえや」
成程と、聞く者は、それに感心する知識しかなかった。