Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
開く桔梗
一
平時なら側へも寄りつかれぬ人の郎党となったのである。しかもその主人は、人なみ優れた器量と学識をもち落人の境遇でこそあったが、わしらのような卑しさなく、何処へ出しても一方の大将として恥かしくない人品と骨がらをも備えておられた。
開く桔梗
一
越前の穴馬には、六年間ほど、郷士として蟄伏しておられた。その間に光秀様はわしを連れ、諸国を武者修行に歩いては、また、穴馬へ帰っていた。
従兄弟の光春様は、他家を頼って、もうその土地にはお在でがなかった。六年の牢人暮らしは、随分、貧乏に苦しめられた。しかし、光秀様は、いつも書を読み、大志を養い、少しも貧乏くさくはなかった。
「さすが、氏素姓のちがいは争えぬ」
わしは、いつも思った。知らぬ間に、主人自慢になって、
「おれの御主人は、いつまでも、こんな草深い田舎に埋もれているお方じゃないぞ」
と、大言した。
人もまた、わしの大言を、
「何をいうか」
とは嗤わなかった。むしろわしの自慢以上に、称め讃えてくれた。世辞でなく、穴馬の町民や土民は皆、光秀様に心服していた。
越前一乗谷の太守は、人も知る朝倉義景公だった。度々、その一乗谷から、乗物を持って光秀様を迎えに来た。