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Japanische Klassiker mit Furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

三

むしろ懐かしげに現在の藩の困窮だの、武士道と実生活の矛盾だのそこから起る弊風だの……つい与右衛門も頷いてしまうし、彼も話しやめようとしない。

人気もない山中の禽の声を聞きながらであった。

――藩へ帰って来てから、しまったと後では思い、今また、君侯の顔を仰ぐと、いよいよ、

(不覚をした)

という自覚にふるえが出て来る程だったが、もう追いつかない事だった。

それについて、まるっきり嘘もいえないので、碇ヶ関の附近で主水の姿を見かけたが、力及ばず討ち洩らしたと答えたので、津軽出羽守は、よけいにその腑甲斐なさを怒って、

「ものの役に立たぬ奴じゃ、恬として、恥とも思わぬ面よな。祖先以来、事なき日にも、禄を与えておくのはなんのためと思う。そちはそれでも米を喰って生きている武士か」

殿が蔑むと、側にいた老臣や近習までが共に罵倒して、

(自分が上意をうけて行ったなら)

と云わないばかりに、侍らしい顔をした。

勿論この後、棟方与右衛門は五十日の閉門になった。軽いほうだとみな云った。

三

「……初めて聞きました。お父様にそんな事があったんですか」

炉の炎にも熱くなっていた瞼を、傷ましそうに、父の顔へ上げると、お珠の涙は赤く光って、膝の先にこぼれた。