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Japanische Klassiker mit Furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

三

――無刀とは、泰平の体。泰平の策は、治国にある。されば、わが家の兵法は見国の機を悟り、治国の太刀たるところにある。将軍家へもそう御指南申しあげて来た。家康公が、秀忠公の師にと、わが家をお取立てになられたわけも、柳生流のそこに御信任をかけられたからだ。――今、三代家光公の治世となり、天下再び大乱の兆しある時、平常、治国の平常を説き、お上の師範たるわしが、この難局を、よそ事に見ておられようか。――もしわしに今のお役目が勤まらぬ程なら、柳生流の極意は死物となるのだ」

久しぶりに十兵衛は、父の血色に壮者のような紅味を見た。しかし云い終るとすぐ、鬢髪の霜をそそげ立てて烈しく咳き入った。その姿を見るとまた、消え際の灯の一燦のような、悲壮なものに十兵衛は胸打たれた。

三

……そのまま、しばらく黙り合っていた。

やがて、父の咳声のおさまった容子に、十兵衛は語をかえて、

「時に、何か御用ではございませぬか。右門と私に」

と、ここへ呼ばれた父の用向きを促した。

「うむ、やはり余の儀ではない。御奉公に就いての事だが――」と、但馬守は、口に当てていた懐紙を袂に落しながら、

「又十郎がおらぬが、又十郎は其方から後で伝えてくれい。