Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
澪つくし
……今何刻だえ」
「もう八刻ごろでしょうか」
「よその爪弾きなんぞ聞いていると、何だか、故郷心がついて、気がめいっていけねえや。誰か、つき交ぜた顔で、三人ばかり招ばないか、飲み直して、からっと笑って帰ろう」
「……でも、今、お迎えに見えていますよ」
「え。……誰が」
「通船楼のお使いが」
澪つくし
金子の勘定を払って清吉は使いに来た通船楼の男と、ぶらぶら河岸を歩いていた。
「いったい、何の御用でしょう」
気にかかるので、しきりに訊いてみたが、使いの男は何も知らない様子で、
「さ、何も伺っておりませんが、ただ、おかみさんは先へ行って、土橋の梅掌軒の床几で待っているから、あなたを呼んで来てくれと仰っしゃっただけなんで。――何ですかいつぞやお求めになった、唐桟を包んで持っておいでになりましたから、あの反物の事じゃございませんか」
「はてな。あれやあほんとの古渡りで、新渡の贋物を売ったわけでもないが。……その梅掌軒ていうなあ汁粉屋か何かですか」
「いいえ土橋に出ている売卜者ですよ」
「へえ、あんな侠な気質のおかみさんでも、卜などを観てもらいに行きますかね」
使いの男は、土橋のてまえまで来ると挨拶して、店へ帰ってしまった。