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Japanische Klassiker mit Furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「何をしておられた」

「お見遁し下さいませ」

「捕えようなどとする者ではない。わしは柳生家の四男右門だ」

「存じあげておりまする」

「知っている?」

「はい。いつも、泉下の仏にお優しい御回向を、陰ながら有難いと伏し拝んでおりました」

「あっ。では其女は……ここの土中に葬られている大機という者と……何か有縁のあいだがらだの」

「え。……あの、由縁のある者ではございますが」

「大機は、酒が好きだったのか」

「ほかに楽しみのない人でございました。ちょうど今日が、家を出た命日。そっと生前好きな酒を手向けておりましたところ、あなた様のお越しにうろたえて、こんな所へ身を隠したのでございました」

「さて、よほど親しい間だの。其女の父か」

「いいえ……滅相もない」

「では叔父か」

「そればかりは、どうぞ何もお訊きくださいますな」

俯伏せていた身を起すと、女はふいに、草叢の陰を出て、あっと眼を瞠っている間に、月の露と、虫の音を衝いて、八重洲河岸の濠端の方へ駈け去ってしまった。

三

十兵衛の部屋、又十郎の部屋、右門の部屋――こう一棟の下にいる兄弟たちの窓は、芭蕉の中庭を隔てて、三方から向い合っている。