Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
「おまえがまだ、十か十一頃の時の話じゃよ」
棟方与右衛門は、わが娘の感傷を見て、これは益もない話を聞かせたと悔いるように、薪を取って、炉へさしくべた。
大きな炉だった。ふつうの家の二倍もある。それに夜も昼も火を焚きづめにしているので、この小屋の木材は脂を沸き出して煤は漆みたいに光っていた。
どうっ――と、強い風圧がぶつかって来て、時折小屋の木材が軋む。ちょうど船底で怒濤を聞いているような感じだった。
こうした外戸の吹雪は冬のあいだ毎日のように続いていた。
「可哀そうなのはおまえだ。母ももういないしなあ……娘ざかりをこんな山小屋に送らせ、冬は吹雪、夏は土仕事」
「お父様、もう仰っしゃらないで……。私などより、お父様こそ、山へ来てからずいぶんお老けになりました」
「やめよう。自分から望んでここへ移って来たのだ。若い娘も犠牲にするのを承知でわしは就役して来たのだ」
「いいえ、お父様は、私を犠牲にしたと仰っしゃいますが、私にだって、今のお仕事は大きな張合いでございます。たとえ何年かかろうと、働いていれば、やはりお父様と同じように、大きな楽しみとなっておりますから」