Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
――米喰い虫の与右衛門とよばれながら与右衛門は何年も飯を噛む間はなおさら考えた。
(何か御奉公したい)
ある年、検見役人に尾いて、岩木川の水害を検分に行った時、彼は後に残って、なお旅をつづけ、一つの決心を抱いて帰った。
家老の邸へ行って、与右衛門は悲壮な眉をして云った。
「どうぞ、これを殿へ御披露してください。曲げて、お許しのあるよう、あなた様からも何とぞ」
と、一通の献策書をさし出した。
岩木川の主水を中心とする津軽平野の治水策であった。彼が寝ずに書いた献言書は、半紙七十枚綴で四冊もあった。
所要の延人員何千人、総費用いくら、完成の期日はおよそどのくらい――という数字も彼の計画も残らずそれに尽してあった。
だが、用いられる筈もない。
(能なしが無念がりを起して、邸へ日参して閉口じゃ)
取次した家老さえが、そんな程度で、城内の笑い話にしていた。
だが、与右衛門の熱心は熄まなかった。その熱心がやや買われたのであろう、翌年は正式に、検見役人の一人として、出張を任命され、やがて、二年も経ってから後、殿が彼の献言書を見たという沙汰で、与右衛門の宿望が、半分ほどかなえられた。