Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
――出る朝をいつも死ぬ日と心に決めているらしい。
もうやがて五十に近い体を、山支度に厳しく固め、手には寒竹の鞭を持って出かけ、工事場で彼のことばに渋る者があったり、惰眠を偸む者があると、
「こやつッ!」
耳まで裂いたような口を見せて、大喝の下に撲りつけた。
ある時は、夏の泥土や草いきれの中で、怪我をした百姓や、痢病に罹った者などを、眼に涙をたたえながら手当している彼の姿を見る事もあるが、仕事に直面すると、まるで仕事の権化だった。
一刻も、ただぼんやりしている事などはない。自分も土を担ぐ、石を運ぶ。
お珠ですら、ここへ来て、百姓たちと交じって働いている程だった。
「――お珠さん、少し休んだがいい。わしが土竈の火も見ていてやるし、薪も割っといてやるで」
十川村の郷士の息子だという安太郎が、いつも彼女を傷々しがって、湯沸し場へ慰めに来た。
湯沸し場仕事もたいへんだった。もっともここ一ヵ所ではないが、ここへだけでも三百人ぐらいな者が、昼飯時には殺到してくる。炎天の下で、薪を割り、土竈に火を焚き、水を汲んでくる。
初めは川水を飲んで仕事していたが、鉱毒にあたって、何十人か一度に罹病したことがあるので、