Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

その前に平伏して、謝り入っている新造や、やりての雇人達を睨めすえて、その三名は、

「だまれ、だまれっ」

と、耳を藉さない。

「吾々を、眼も耳もない木偶と思いおるのか。――今、たしかにこの二階で、大声で唄を吐ざいていた奴がいる」

「客ではあろうが!」

この二人が極めつけた最後に、もう一名の同心が、

「――鳴物停止というお布令を其方どもは何と心得おるのか。唄ならば大声で謡ってもかまわんという所存か。しかも今日の如き天下の非常の場合に、客を登楼させて遊ばすなどとは、言語道断。――登楼る奴もあがる奴だし、遊ばせる奴も遊ばせる奴だ。不心得極まる奴輩――大目に見ておくことはできん。楼主と、その客をこれへ出せっ」

とうとう、楼主も来て謝っている様子であったが、

「詫言だけで済むことではない。かりそめにも今日は、天下の御大老たる井伊掃部頭様が、御登城の途中、浪士とものために討たれて果てなされたのであるぞ。――将軍家をはじめ天下万民、いかなることになり行くかと、世を挙げて憂い愁しみ、御国の悩みを身の悩みとしておる際に――青楼で歌を謡うとは何事だ。また密かに客を揚げて、かような時とばかり、営利をむさぼる楼主の不謹慎はなおもってゆるし難い。