Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
二
皆、猿の予言どおりの日に出て行った。
羨望と驚きで、牢内は動揺した。もう牢頭のわしなどは見向きする者もなく、
「猿。おれは、何日出られるんだろう」
「猿。おれは追剥をして捕まったんだが、免されるだろうか」
「おれも、打首にならずに、助かるだろうか」
地蔵の来迎へ縋る餓鬼のように取巻いて訊ねた。
「出るよ。出るよ。おまえ達の心さえ正しくなれば、自然、助かるよ。だがわしも明日は七日目になるからな、明日こそは本当のお別れになるぜ」
牢頭という沽券の手前、わしもその日までは、猿に対して、白眼視していたが、猿がほんとに、明日限りこの牢から姿を消すかと思うと、堪らない淋しさと絶望に虐まれた。
真夜中だった。
わしは、皆が眠り落ちたころを見すまして、そっと、猿を揺り起した。
「おい。おい。ちょっと起きてくれないか……」
猿は起って、真暗な中に坐り直した。わしも畏まって、その時ばかりは真実の涙を流していった。
「猿……。俺はな、誰にもいった事はないが、故郷元に不孝を重ねたままの母親を一人残してある。わしはもう一遍、その母親の顔を見られるだろうか?」
二
猿はしばらく考えていたが、わしの思いつめた眼をじっと見て――他の者が眼をさまさないようにと憚るらしい小声で、