Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
二
この国の闇が二年、三年と続くものを、一日もはやく、修羅から救い、同時に御主人の悪逆無道の狂乱をも、苦患の底からお助けしたい――と念じるしか考えていないのである。
二
さて。
わしは六月朔日の未明から歩き続け、夜の目も眠らず、六月三日の夕刻には猿殿の御陣所――備中高松城の寄手の戦場間近くたどり着いていた。
「うさんな奴。どこへ行く」
「城方の使いであろうが」
わしは、八幡山の木戸で、寄手の歩哨にすぐ捕えられた。元より、本望の事と、驚きもせず、わしの両腕を捻じ上げた兵たちへ、声高に訴えた。
「うさんな者でございませぬ。大事をお告げ申すために、丹波表より夜の目も眠らずに来た者でござる。逐一は、筑前様へ直々でなければ申されませぬ。他では寸言も吐きませぬ。何とぞ、大将のおん前へ、引っ立てて戴きとうござる。縄付でなりと、お恨みは仕りませぬ」
わしはそういって、自分の両手を後ろへ廻し、神妙の態をまず見せた。
この辺りは、浮田秀家様の陣地だった。急に伝令が駈けた様子。間もなくわしの身柄は、七名の槍囲いに監視され、羽柴秀長殿の陣所を通って、石井山の御本陣まで連れて行かれた。