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Japanische Klassiker mit Furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

――しかも京の大変が、吉川、小早川の陣へ、ちらとでも聞えたが最後、山つなみの押すように、毛利方は勢いを得て、こちらの浮足を衝いて来ることも、目に見えている。

「……どうなさるだろう。猿殿は?」

すべては、猿殿の胸三寸にかかっていることだが、わしもそう案じないではいられなかった。

夜来、石井山の御本陣では、別だんの変りもなかった。遽に、兵が動くでもなく、動揺の気ぶりなど、微塵も窺われない。

しかし早朝にどこかへ、使者らしい騎馬武者が出て行った。

また、安国寺の僧、恵瓊という者が、午まえだけで、二度も御本陣を訪れた。

夕刻にも、また見えた。

その最後の訪問には、何かの都合で、御本陣が使用されず、恵瓊殿には持宝院の客殿に通されて、秀吉殿以下の者と会見されたので、わしは計らずも、壁ごしに薄々様子を知ることができた。

果然。

石井山の御本陣では、その日、たった一日のうちに、恐ろしく迅い、そして強引な、外交的機略を活溌にしていたものであった。

恵瓊は、講和の使者だった。

それより前に、毛利方から和睦の使いに立てられて、

――中国五ヵ国の譲渡。

――高松城の包囲解除。