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Japanische Klassiker mit Furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

天命一つ一つ

一

「あっ、待て」

「右門ではないかっ」

誰なのか、後ろから迅い跫音なのだった。その声に、かえって、右門は突きのめされたように、ざぶん――と河面の月影を砕いて自分を投げ入れてしまった。

刹那――お由利は、片手を柳の枝につかまって、岸の上に身を残していた。そして飛沫と一緒に、ばたばたと逃げ走った。

旅拵えの武士が二人、一足おくれに駈けつけて来た。十兵衛と又十郎の兄弟であった。

「右門は、わしが救い上げる。又十郎、お由利を追え、お由利を」

十兵衛は、橋の下流に繋いであった小舟へ跳んだ。救い上げはしたものの、右門は水を嚥んでいた。しかし、かえってそれが僥倖であった。舟べりで兄の十兵衛に背を叩かれて、右門は、夥しい水と共に、毒もきれいに吐いてしまった。

天命一つ一つ

一

「兄上、捕まえて来ました」

岸の上で、又十郎がいう。お由利はその手に捕われていた。

「橋の欄へ縛っておけ」

濡れ鼠の右門を抱えて、十兵衛は小舟から上がって来た。――右門はまだ生きている自分を見出したよりも、水にも濡れていないお由利の姿を見て、世にあるまじき不思議のように、あっと、顫いてさけんだ。

「舎弟。