Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
二
打つも張合はないが、但馬どのが帰られるまでの暇つなぎに――お見せしようか。勝負を」
又十郎は肚の底でもう一度(な! なにを!)といってみた。自分たち四人兄弟のうちでも、兄の十兵衛三厳をのぞいては、次男の刑部友矩にも、四男の右門義春にも、負けはしない。劣っている自分ではない。
二
幼い頃――
まだ四歳か五つくらいな時分。故郷の大和柳生の庄の祖父君――門流の人々はそれを、大祖といって崇めている――石舟斎宗厳から、杖をもって、あしらわれあしらわれ、
(この孫の骨は悪くない)
と、よくいわれたという自分である。
その後、十四、五歳の頃には、兄の十兵衛をさえ凌いで、あの片目の兄に、口惜し泣きさせた事だってある。
近頃、多少怠ってはいた。――とはいえ、無名の浪人に敗れるほど、剣を忘れてはいないつもりである。剣の家柳生家の三男だ。敗れては、十年以上も自分を研いて来てくれたこの板の間に対してでも相済まない。
――と思うほど、毛穴が汗ばみ、焦々と、気が逸りかけたが、相手のふところは、洞窟のように、ちょっと測りきれなかった。
(手ごわい!)
と、いつになく硬くなる。相手はじりじり詰めよせる。