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Japanische Klassiker mit Furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

「日本堤。一つ唄らんか」

寅右衛門は、煙管で、自分の座から三人目の男をしゃくって、

「薪梅さん、どうかお先へ」

すると、その男は又、向う側に、羽織袴でいかめしく座っている武家へ、辞儀を送って、

「出淵様。いつぞや、御家中の岡村の旦那から伺いますに、其角の句を読み入れた新作をお作くんなすって、それを藤七が節付けしたってお話じゃござんせんか。そういうものを一つ伺わせて戴きたいもんで」

「いやあ、あれはまだ、お耳に入れるほどでない」

「御謙遜でげしょう。のう、みんな」

「それは、聞きたい」

金十郎も、一緒に和して、

「出淵氏、所望じゃのう」

「唄うは苦手、身ども、どうも声が悪うて」

「どういたしまして――」

と、側にいる老妓が、

「姫路侯のお留守役は、お留守居役中での渋い喉だそうで、平清や両国あたりでは、専ら評判でござんすが。ねえ、小秀ちゃん」

「御卑怯ですよ」

自分の持ちものらしい若い妓に、出淵は、突きだされて、年がいもない顔を赤らめた。しかし、内心は得意でもあるらしく、

「然らば」

と、次の間の見台の前へ坐った。

「役不足でござんしょうが」

と、老妓が、側へ坐って、細棹を膝へのせ、糸をあわせた。