Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
私は、食事も何も忘れて、油煙臭い押入れの中で、不思議なせりふを呟きながら、終日幻燈の画に見入っていることさえありました。そして、母親に見つけられて、押入れからひきずり出されますと、何かこう、甘美な夢の世界から、いまわしい現実界へ引戻された様な気がして、いうにいわれぬ不愉快を覚えたものであります。
さすがの幻燈気違いも、でも、尋常小学校を卒業する頃には、少し恥しくなったのか、もう押入れへ這入ることをやめ、秘蔵の幻燈器械も、いつとはなしにこわしてしまいました。が、器械はこわれてもレンズだけは残っています。私の幻燈器械は、普通玩具屋の店先にあるのよりは、ずっと上等の大型のでしたから、従ってレンズも直径二寸程の、厚味のたっぷりある、重いものだったのですが、それが二つ、文鎮代りになったりして、その後ずっと私の勉強机の上に、置かれてありました。
あれは、中学校の一年生の時でしたか、ある日の事、一体朝寐坊のたちで、そんなことは珍しくもなかったのですが、母親に起されても起されても、ウンウンと空返事ばかりして、暖かい寝床を出ようともせず、到頭登校時間を遅らせ、もう学校へ行くのがいやになってしまって、母親にまで仮病を使って、終日寝床の中で暮したことがありました。