Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
二人は黙って睨み合っていました。それは口に出すには余りに恐しい想像だったのです。
「しかし、普通のトランクでは、とても人間一人は入りませんね」
やがて、河野は青ざめた目の下をピクピクさせながらいうのでした。
「もうその話は、止そうじゃありませんか。まだ誰が殺したとも、いや殺人があったということさえ極っていないのですから」
「そうはいっても、あなたもやっぱり私と同じことを考えているのでしょう」
そして私達は、又黙り込んでしまいました。
一番恐しいのは、一人の人間を、二つのトランクに分けて入れたという想像でした。それは誰にも気づかれぬ様に、浴場の流し場で、死体を処理することは出来たかも知れません。そこではどんなに夥しい血潮が流れても、皆湖水の中へ注ぎ込んでしまうのです。しかし、そこで彼等は、長吉の死体をまっ二つに切断したのでしょうか。私はそれに思い及んだ時、ヒヤリと自分の背骨に斧の刃がささった様な痛みを感じました。彼等は一体何を以てそれを切断したのでありましょう。あらかじめ兇器を用意していたか、それとも庭の隅から斧でも盗み出して来たのか。
一人は入口のドアの所で見張り番を勤めたかも知れません。