Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こはんていじけん

湖畔亭事件

江戸川 乱歩

Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme

Aozora Bunko

人間の焼ける匂というと、何か聯絡があり相な気がするものですから」

「この二三日ひどい風が吹いてますね」河野は何か思い当る節でもあるのか、勢込んで「南風ですね。そうだ南風が吹き続いていたという点が問題なのだ」

「どうしてです」

「その匂のした村というのは、丁度この村の南に当りはしませんか」

「丁度南です」

「では、この村で人を焼けば、それは烈しい南風のために、湖水を渡って、向うの村まで匂って行く筈ですね」

「でも、それなら、向うの村よりは、ここでひどい匂がしそうなものですね」

「いや、必ずしもそうではありませんよ。たとえば湖水の岸で焼いたとすれば、風が激しいのですから、匂は皆湖水の方へ吹き飛ばされてしまって、この村では却て気がつかないかも知れません、風上ですからね」

「それにしても、誰にも気づかれない様に人を焼くなんて、そんなことが出来るとは考えられませんが」

「ある条件によっては出来ますよ。例えば湯殿の竈の中などでやれば……」

「エ、湯殿ですって」

「エエ、湯殿の竈ですよ。……僕は今日まであなた方とは別に、僕だけでこの事件を探偵していたのです。そして殆ど犯人をつき止めたのですが、ただ一つ死体の仕末が分らないために、その筋に申出でることを控えていた訳でした。