Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
この真夜中に、焼けビルの樋をはう男、じつにふしぎな光景です。ビルに住んでいる人が、樋などつたうはずはないのですから、さしずめ、この男はどろぼうとでも考えるほかはありません。
ふたりの警官は、あいてにさとられぬよう、ソッと、その建物に近づいていきました。樋をつたう男は、まるでかるわざ師のように、身がるに、スルスルとおりてきます。下に警官がまちかまえていることは、すこしも気づかないようです。
男は地面から二メートルほどのところで、パッと手をはなし、くさむらの上に、とびおりました。そして、ちょっと、よろめいたうしろから、ひとりの警官が、いきなり組みついていったのです。
「きさま、何者だ。ここのうちで、何をしたんだ。」
警官はあやしい男を、はがいじめにしてどなりつけました。
「シッ、声が高い。」
男はすこしもさわがず、まるで上役が部下をしかるようなちょうしで、警官をだまらせておいて、はがいじめにされたまま、いそいで建物のそばをはなれていくのです。
そして、百メートルも、あるいて、一軒のバラック建てのうちのかげまで、たどりつくと、あやしい男は、やあ、とふつうの声で、ものを言いました。