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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども、男のお客では、どこへかけてもらうにしても、自然なゆとりがないほど、部屋は狭かった。

屋根裏の勾配が出ている低い天井の下に、たった一つディヴァンがあるきりの、枕の上におもちゃがマスコットのようにおかれている女の室へ、蜂谷良作もはいりかねる風だった。ドアのところに軽くもたれて立ったまま、

「吉見さんは、やっぱりロンドンからまっすぐ帰ってしまったんですか」

「あのひとは、たった三日ロンドンにいただけよ」

あしたの朝素子がロンドンを立つという前の晩、ピカデリーを散歩していて、伸子は一つの明るいショウ・ウィンドウの中に白い猿のおもちゃを見つけた。下目をつかって、ちょっと沈みがちに考えている猿の表情は、どこか親切で賢いときの素子の顔つきに似ていた。いやしいところのない白い猿のおもちゃというのも珍しかった。伸子は半分ふざけ、半分は本気で、わたしの魔よけに、ね、と二人でそれを買ったのだった。

伸子は、外出のために露台のガラス戸をしめながら、

「蜂谷さん、もしよかったら、またペレールへ逆もどりしましょうか」

ほかに仕方もあるまいという風に伸子は自分のまわりを見た。