Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
人の生き死にかかわりない夜の寂しさが、一人で爪先さぐりに階段をのぼってゆく伸子にしみとおった。ペレールで見た電報が信じられないような感じにとらえられた。
伸子は息をつめて、磯崎の室のドアをノックした。無言のまま、すぐ扉があいた。廊下に立っている伸子を見て、ドアをあけた見知らない日本の男のひとは、
「ああどうも」
と、あいまいに云って頭を下げ、体をひいて伸子を、室内に入れた。
年配のまちまちな四五人の日本の男のひとたちが、いつものとおり無装飾なその室の長椅子のところにいた。伸子は何と云っていいかわからず、だまってそこにいる人々に頭を下げた。
「奥さんはあっちに居られますから――どうぞ」
伸子は、丁寧なものごしで示された隣りの寝室の方へ歩いて行った。両開きのフレンチ・ドアのかたそでだけが開け放されている。足音をころしてその敷居のところへ立ちどまったとき伸子のひとめに見えた。ひろい寝室のむこうの壁につけておかれている寝台と、その上に横わっている磯崎恭介、わきの椅子にきちんとかけて、濃いおかっぱの頭をうなだれている須美子の黒い服の姿。――人の気配で須美子は頭をあげた。