Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「だって、疲れきっているのがわかっているのに――一人でやるなんて……」
須美子は、ためらうようにしていたが、
「この方がマルセーユまで来て下さることになって居りますから……」
彼女のわきに立って赤坊を抱いている青年に顔を向けた。
「――ああ、それなら、どんなにかいいわ――どうぞ、くれぐれもよろしくね」
言葉すくなに、しかしゆきとどいて用意されている出発。それも須美子らしかった。
発車がせまって、細っそりステップに立っている須美子のうしろから、プラットフォームの人々に挨拶しようとする二つ三つ外国人の顔が重なった。
「何だか、あぶないわ、うしろから押されそうで。――こっちへ行きましょう、窓のところへ」
やがて動き出した窓について、伸子は暫くの間いそぎ足にプラットフォームを進んだ。列車の速力はまして、手をふっている須美子のおかっぱの頭もやがて前方の人むれに遮ぎられた。
二
その一日のうちに重なった二度の見送りは、どちらもパリにのこる伸子に悲しさや、寂しさをのこした。
翌日、伸子は終日ひとりで、余韻のふかいこころもちのうちに暮し、市内ですましておかなければならない用事を果した。