Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
もっと近くに坐ろうよ」
「この汽車ったら、あんまり、がらあきなんだもの……」
伸子は、窓ぎわの隅からはなれて、ベンチのまんなかにいる蜂谷のわきにかけ直した。
夜に響く単調な車輪の音にひきこまれたような沈黙を破って蜂谷がぽつんときいた。
「佐々さん、ほんとに十一月いっぱいでパリをひきあげるつもりなのかな」
「そうよ」
「――ぜひもう一遍、どこか近いところへ行きましょう。ね、こんなに長い汽車にのらないでいいところへ」
「どんなところ?」
「そりゃ、いろいろある」
「だって、わたしたち、どっちもろくにお金をもってないくせに」
伸子は、笑いだした。
「わたし、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ帰る旅費だけは、大事にとっておくんだから」
眉をしかめるような斜かいの見かたで、蜂谷は、彼のかたわらに笑っている伸子を見た。
「僕は、きょうだって、外の連中と来たのは失敗だったと思っていたんだ」
「どうして?」
ぼんやりしていた伸子の注意がめざまされた。伸子は、はっきりした声の調子にもどった。
「丁度六人で、きっちり、都合がよかったと思うわ」
「そんなことじゃない……佐々さんは、きょうは、いつものきみじゃあなかった」