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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

マチス自筆の署名いりで、番号のはいった限定版であった。パリを出発する準備にいくらかずつ画集をあつめていた伸子は、他の三四冊あきらめてもそのデッサン集がほしくて、柴垣にも見てもらいたかった。

約束の午後、どうしたわけか柴垣は誘いに来なかった。待ちぼけになった伸子は、日ぐれがたモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ出す手紙をポストしに町へ行って、思いがけず郵便局のわきで柴垣に出会った。

「あら」

柴垣と伸子とは互に目を大きくして眺めあった。

「きょう、御都合がわるかったの?」

「いいや」

いぶかしそうに、そしてしらべるように柴垣は伸子を上下に見た。

「あなた午前中から留守だったんじゃなかったんですか」

「いいえ」

「うちにいたんですか?」

「いたわ。あなたがいらっしゃらないから、これを書いたわ」

素子あての厚い角封筒をふってみせた。

「ふーん」

考える目つきで伸子を見つめながら、柴垣は片腕を大きく肩からふって指をはじき鳴らした。

「いっぱい、くったかな」

約束の時間にベルネの玄関へ行ったら出て来たのはフランシーヌで、伸子はひる前から出かけていると告げたのだそうだった。