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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

段々おちついた伸子の心に、いきなりぶったあげく逃げ出した卑怯な二人の女のかっこうが、苦々しくまた滑稽に見えて来た。

「――あなたって、不思議ねえ」

柔和になった伸子の声に、素子の視線がやわらいだ。

「どうしてさ」

「だって――あなたは、さばけたところがあるのに――。ある意味じゃ、わたしよりずっとさばけているのに、変ねえ……キタヤンカだけには、そんなにむらむらするなんて……」

「…………」

伸子を見かえした素子の瞳のなかにはふたたび緊張があらわれた。

伸子が五つ六つの頃、よく支那人のひとさらいの話でおどかされたことがあった。けれども、現実に幼い伸子の見馴れた支那人は、動坂のうちへ反物を売りに来る弁髪のながい太った支那の商人だった。その太った男は、いつも俥にのって来た。そして、日本のひとのように膝かけはかけないで、黒い布でこしらえた沓をはいた両足をひろげた間に、大きい反物包みをはさんでいた。弁髪の頭の上に、赤い実のような円い飾りのついた黒い帽子をかぶっていて、俥にのったり降りたりするとき、ながい弁髪は、ちょいと、碧い緞子の長上着の胸のところへたくしこまれた。