Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「登坂先生たちは、そういうことをみんな知って居られるんですか」
「このごろは、もう何も云ってやりませんの。無駄に心配させるばかりで気の毒ですし、かえって磯崎の御両親との間がむずかしくなりますから」
それぞれの椅子の上でだまりこんでしまった三人の女を、古風なその室の電燈が頭の上から照し、キャン※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ァスののせられている椅子の影が、はだかの木の床の上に黒く落ちている。そとはすっかり夜だった。そこには人々の生活が営まれているが、須美子の孤独や苦痛にはかかわりない遠くの灯が窓から見えている。
「ごめんなさい。ついわたし、こんなことまでお話してしまって……だから磯崎にしかられるのですわ」
「わたしたちは一向かまいませんがね」
親身な懸念のあらわれた顔つきで素子は、
「こまったこったなあ」
と云いながら、タバコをとり出した。
「わたしたちがさし出る場合でもないし――」
「……それでもこのごろは、わたくしもいくらか心が落付いて参りましたの。わたしまで一緒に絵をやろうとするから、万事が無理なんですもの。――ともかく、今のところは磯崎の勉強を中心にして居りますの、あのひとだけは、どんなことがあっても、しっかり勉強しなければなりませんわ」