Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
多計代は、そのとき保とともに心ゆくばかり泣いて、死のうとした保の純情に感動して、それで自分としてはすんだように思ってしまっていたのではなかろうか。さもなくて、どうして、夏、がらんとした動坂の家へ保をおいて自分たちだけ田舎へ行ってしまう気になれたろう。伸子は、くちおしさに堪えなくて、自分の拳で自分のももをぶって、ぶった。伸子たちがモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ来る年――去年の夏、相川良之介が自殺したのも八月だった。その何年か前武島裕吉が軽井沢で自殺したのも八月だった。どちらのときも、その前後は、ことのほか暑気きびしく、と書かれた。ほんとに保が多計代の情熱の子ならば、何かの不安から保のそばをはなれかねる気分が多計代になかったという方が、伸子にすれば納得しかねた。父の泰造も、三月のとき、保に自殺の計画をわすれさせ、生きさせるために何一つ強硬な努力を試みていない。――ほとんど、ずるずるに、こんどのことまで来ている。保がメロンの駆虫用ガスの効果をしきりに研究していたことについても何一つ勘を働らかせないで。――
去年の夏、相川良之介が死んだとき発表された遺書を、もちろん保も読んだだろう。