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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

こんな伸子の生活感情の変化はそとめにはどこにもわからなかったが外界に対して伸子を内気にした。ソヴェト社会につきささった自分という感じは、しきりにモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ来る歌舞伎の噂でもちきっている人々の感情とは、どこかでひどくちがったものだった。伸子はそのちがいを自分一人のものとしてつよく感じた。保の死んだ知らせが来たとき、伸子は失神しかけながらしつこく、よくて? わたしは帰ったりしないことよ、よくて? とくりかえした。ソヴェト社会につきささった自分という感じは、この、よくて? 帰ったりはしないことよ、と云った瞬間の伸子の心に通じるものであった。同時に、パンシオン・ソモロフの古びた露台の手摺へふさって、すべての過去が自分の体ぐるみ、うしろへうしろへと遠のいてゆくようなせつな、絶壁にとりついてのこっている顔の前面だけは、どんなことがあってもしがみついているその場所からはがれないと感じた、あの異様な夏の夕暮の実感に通じるものでもあった。

伸子は素子と自分との間に生れた新しいこころもちの距離を発見した。保の死から伸子のうけた衝撃の大きいのを見て、ヴォルガ下りの遊覧やドン・バスの炭坑でシキへ入るような見学を計画したのは素子であった。