Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
その忙しいすきに何かの用で中館のところへ話しに来ていた長原吉之助は、遠慮がちにカフスのかげで腕時計を見ながら、
「いま、佐々さんの云われた妙なきもちっていうの、全く別のことなのかもしれないんですが、わたしはここの舞台の上でちょくちょく感じることがあるんです」
歌舞伎の俳優としては例外なようにざっくばらんな熱っぽい口調で吉之助が云った。
「それ、どんな気持?」
どこまでもくい下ってゆく柔らかな粘着力とつよい神経を感じさせる中館が、それが癖のどこか女っぽい言葉で吉之助にきいた。
「言葉の通じない見物を前へおいての舞台って、そりゃたしかに妙だろうな」
「その点は案外平気なんです。せりふがわからないからかえってたすかるみたいなところがあるんです。こっちは、土台、せりふがわからない見物を芸でひっぱって行く覚悟でやっているんですから」
「それは見ていてわかりますよ」
と素子が、永年芝居を見ているものらしく同感した。
「左団次だって、よっぽどまじめに力を入れてやってますよ。その意味じゃ、ちょいと日本で見られないぐらいの面白さがある」
「文字どおり水をうったようだねえ、ソヴェトの人に面白いんだろうか。