Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「お前さんかね――日本の女のひとっていうのは?」
いきなりのことで伸子は返答につまった。しかしここで日本の女と言えば自分よりほかの誰でもないわけだった。伸子は、
「何か用ですか」
ときいた。
「入ってもかまわないかね」
「どうぞ」
伸子は、長椅子の方をさして、
「かけて下さい」
と云った。
「寒くないかしら。――ここの窓はガラスがこわれているんだけれど」
「なに、かまわないさ」
その女は、ひどく亢奮している様子でそんなことは面倒くさそうにせかせかと云った。
「わたしはね、ちょいとお前さんに会って話したいと思って来たのさ」
抗議することのある調子だった。伸子は何だろうと思った。人の気をわるくする機会があるほど伸子はまだ動けないでいるのだから。見当のつかないまま伸子は、
「スカジーチェ(おきかせなさい)」
と云って、両方の手を、半身おきあがっているかけものの上においた。
「わたしは、腎臓がわるくて、体じゅうはれたんでこの病院に入って来たのさ。できるだけ早くよくしてもらって、すぐかえるためにね。それが二週間よりもっと前のことさ。ところがもうこの一週間はわたしの体からはれがひいて、すっかりなおっているのに、ドクターは、まだ癒っていないって云うのさ。