Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

銀鼠色のわなてんのフェルト草履をはいている素足のつまさきをせわしく動かしながら、多計代は興奮の眼くばりで云った。

「親は一つも理窟をいうな。金だけは黙って出せっていうのが、伸ちゃんの何とか主義っていうのかもしれないがね。わたしは御免だ」

例の多計代の、挑みかかる言葉つきだった。伸子はそれにひっかかるまいと努力しながら、それでもつい、

「勘ちがい、しないでよ、お母様!」

ほとばしるように云った。

「わたしがいつ、一フランだって下さいって云ったことがあって? 和一郎の話じゃありませんか」

ほんとに、旅費なんか出してもらっていなくてよかった。伸子は激しく考えた。

きっとこんなこともあろうと、伸子は買物のために泰造からあずかる僅かの金でも、計算書にして収支を明白にして来た。パリには素子もいる。素子は、自分たちの暮しと、佐々の一家の生活と、この一ヵ月は二つの間をかけもっている伸子に、きびしいけじめを要求した。素子ははっきりした理由もなしに佐々のうちのものと食事によばれることさえよろこばなかった。

「和一郎の問題で、伸子も一緒に話せっておっしゃるならわかるけれど――そんな、……まるでわたしがお金でもゆすっているみたいな!」