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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme

Aozora Bunko

九十八

「己も一度その人に逢っておこう」

小野田はお島から金を受取ると、そう云って感謝の意を表した。

「可けない可けない」お島はそれを拒んで、「あの人は莫迦に内気な人なんです。田舎にもあんな人があるかと思うくらい、温順しいんですから、人に逢うのを、大変に厭がるんです」

小野田はそれを気にもかけなかったが、やっぱりその男のことを聴きたがった。

「それは東京にも滅多にないような好い男よ」お島は笑いながら応えたが、自分にも顔の赧くなるのを禁じ得なかった。

九十八

避暑客などの雑沓している上野の停車場で、お島が浜屋に別れたのは、盆少し前の或日の午後であったが、そんな人達が全く引揚げて行ってから、お島たちはまた自分の家のばたばたになっていることに気がついた。

浜屋はお島に買せた色々の東京土産などを提げこんで、パナマを前のめりに冠り、お島が買ってくれた草履をはいて、軽い打扮で汽車に乗ったのであったが、お島も絽縮緬の羽織などを着込んで、結立ての丸髷頭で来ていた。

足音の騒々しい構内を、二人は控室を出たり入ったりして、発車時間を待っていたが、このステーションの気分に浸っていると、自然に以前の自分の山の生活が想出せて来て、涙含ましいような気持になるのであった。