Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lesen Sie あらくれ von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.451 Zeichen · 236 Bildschirme

Aozora Bunko

百九

百九

親思いの小野田が、田舎ではまだ物珍しがられる蓄音器などをさげて、根津の店が失敗したおりに逐返したきりになっている、父親を悦ばせに行った頃には、彼が留守になっても差閊えぬだけの、裁の上手な若い男などが来ていた。

知った職人が、この頃小野田の裁を飽足らず思っているお島に、その男を周旋したのは、間服の註文などの盛んに出た四月の頃であったが、その職人は、来た時からお島の気に入っていた。

自分でも店を有ったりした経験のある、その職人は、最近に一緒にいた女と別れてそれまで持っていた世帯を畳んで、また職人の群へ陥ちて来たのであったが、悪いものには滅多に剪刀を下そうとしない、彼の手に裁たれ、縫わるる服は、得意先でも評判がよかった。おっつけ仕事を間に合すことのできないその器用な遅い仕事振を、お島は時々傍から見ていた。体つきのすんなりしたその様子や、世間に明いその男は、お島たちの見も聞きもしたことのないような世界を知っていたが、親しくなるにつれて小野田と酒などを飲んでいるときに、ちょいちょい口にする自分自身の情話などが、一層彼女の心を惹いた。

「こんな仕事を私にさせちゃ損ですよ」