Japanische Klassiker mit Furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme
こう聞くと善鬼はひどく意地悪い顔つきを示した。典膳の希望のひと通りでない熱意を感じるとなおさら彼はおいそれと取次いでやる気になれなかった。
「よしな。だめに極っている」
膠もなくこう吐き出して、
「さきも云ったとおり、気難しいことといったら無類な先生だ。絶対に弟子なんざ取らないお方だ。それをなぜ俺だけが許されて門弟として附いているかといえば、もう十年も前になるが、淀の三十石船で先生が大坂へ下って来たことがある。――その頃、かくいう俺は、枚方の船持の息子で、自分も船頭していたのさ」
この男は前身をつつまない。むしろ誇りとしているふうすらある。典膳にはそれが正直な人物のようにうけとれた。黙ってその顔を見あげたまま聞いていた。
三
善鬼が自慢ばなしに語りだしたのは、こういう過去の事だった。
ひと年、弥五郎一刀斎が、舟で大坂へ下る途中、骨逞しい船頭が、
「この船には、ずいぶん武芸者も乗るので、余り腕自慢するやつは、いつも懲らしてやっているが、まだ、俺を打った武芸者なんてひとりもいない。術の法のと、理窟はうまいが、持って生れたほんものの腕ぶしには敵ねえのさ」
と、大声に乗客へはなしかけていた。