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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

八

しかし、その間にも、彼として、時には師の人格に全く懐疑しないわけでもなかった。一世の剣雄、宇内随一といっても、二とは下るまいと思われるほどな一刀斎にも、起居同床、何年も側にいてみると、性格的にまったく短所も欠点もないというような人ではない、否、むしろこういう一道の達人にありがちな欠陥も多分に持っているのである。

たとえば、金銭などには、関わないようでいながら、案外こまかい。道中の木賃の料や中食わらじの代まで、典膳がいちいち誌しているが、

「なぜこんな無駄をする」

と、些細な茶代の心づけの多少にまで喧ましくいう。

そうかと思うと、周遊中には、高名を聞いて、所の諸侯が使臣をさしむけ、

「城中へ参って家中一同へ一刀流なるものを観せてくれぬか」

などと礼物を齎して、いんぎんに迎えても、

「わしは、芸者ではない。慰みに観るなら、余人を召されたがよろしい」

などと膠なくそれを突っ返し、超然、物や黄金には目をくれない。

総じて、権門にたいし、一種の白眼をもっている。狷介不覊なところがある。酒を飲めば、大気豪放、世の英雄をも痴児のごとくに云い、一代の風雲児をも、野心家の曲者のごとく誹る。