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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

日本名婦伝

一

「ふたりとも待て。……ちと、はなしがある」

と、笠の緒を解いた。

焦くが如き炎天の下、碧落の十方、キチキチ、キチキチと、青い虫の飛び交うほか、旅人の影一つない真昼だった。

二

一刀斎は、道の傍らに、大きな石を見出し、汗を拭って、それへ腰かけた。

弟子の二人は、二十歩ほど彼方に、命じられたまま、佇んでいる。

まず、先に、

「善鬼。これへ参れ」と、呼んだ。

善鬼は、大股に歩いて来ると、彼の前に突っ立った。一刀斎は、その非礼に顰蹙したが、今はその非礼を咎める気にもならないように、

「夜前の希望をかなえてつかわす。望みどおりここで典膳と立合うがよい。おぬしが勝たば、ここに携えておる瓶割の刀、伝書、相添えてそちに譲ろう。このふた品を持って、北条安房どのを訪れ、幕府への御推挙を仰ぐとも、また一刀流を称して他に一家を構えようとも志どおりにいたせ」

と、云い渡し、重ねて、

「よろしいか」と、念を押した。

善鬼は、そう聞いてから、急にひざまずいた。自分の意志が容れられたし、師のことばに、親切も感じられたからである。そして典膳との勝負については、何の顧慮なく、勝つものと、極めているらしかった。