Japanische Klassiker mit Furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme
二
「ありがとうぞんじまする。お見届け下さい」
明答して、元の所へ、引き退がった。
次にまた、一刀斎は、
「典膳。これへ来い」と、さしまねいた。
典膳は、師の脚下に坐って、両手をついた。
彼方から善鬼がじっと見ている。――一刀斎は善鬼へ云い渡したことばを、彼へもそのまま繰返したに過ぎない。ただし、彼に対しては、その唐突を気の毒がるように、べつにこれだけのことは云い足した。
「好むことではない、何分にも、善鬼の我意はわしにも、撓めきれん。よんどころなく希望を容れたわけだ。――故に、其方としては、兄弟子たりとも、毛頭、斟酌に及ばぬ。修行の年月は、彼よりも浅いが、死力を尽して立合え。怖らく、技に於ては、そちは到底、善鬼の敵ではあるまい。及ばぬこと遠いとわしは視る。しかし剣道の真は、技や作り構えでないことぐらい、万々、そちも開悟しておる筈。よも見苦しい負けは取るまい。確と肚をすえて致せよ」
「おいいつけとありますれば。……畏まりました」
典膳も、起って、元の位置まで戻った。
一刀斎は、腰かけている石から離れず、彼自身また、石に化したかのように、じっと、二人の弟子を見くらべていた。