Japanische Klassiker mit Furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme
「いかにも。なる程なる程」
と、共鳴して、ひどく挨拶顔はよいが、決して、実行するような気はなかったということである。
こういうふうに、剣の烈しい一面のみを以て、秋霜身を持し、また将軍にもそのまま、刃びきの刀をもって、遠慮なしに稽古をつけたりした小野一刀流は、自然、忌まれ避けられ、次郎右衛門その者の人間まで、知らず知らず遠ざけられて、独り柳生流のみが、将軍お手直しの剣道として、世人にまで称美される風を作った。
けだし、柳生流の本来とするところは、流祖石舟斎が、但馬守宗矩の出府に際して、懇ろに諭しているとおりに、
――殺人ノ剣タル勿レ、治国ノ剣、経国ノ剣トシテ家流ノ本旨トナシ、又奉公ノ念トセヨ。
と、いうにあったので、一秀忠の剣技などは、下手でも上手でも、問題とはしなかったのである。
だが、その天下一柳生流も、柳生の四代、五代となっては、見るかげもなく堕落している。かんじんな流祖の精神はいつか失って、その恩寵に馴れ、声名に驕り、生活に安んじ、不断の研きも忘れるに至ったからである。
忠明の子、二代小野二郎右衛門も、達人の聞えが高かった。まず父の名を辱めない人といえよう。