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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

二

それにひきかえ、柳生殿には、一城の御当主、領民への御体面もある。先にお訪ねをうけては恐縮、自身から出向いて、御拝眉をねがおう。――そう当人の伊勢守が希望することであるから、近日、寺僧を案内につけて、お城まで参上する。当日は自分は同道できないが、さだめし興ある御清談が交わされよう。取敢えず、御返辞までを、と認めてあった。

――それが、今日の伊勢守の来訪となったのである。勿論、前の日、宗厳から命じられてあるので、番士は、直ちに城門をひらき、そこにはまた、

「ようぞお越しを」

と、老臣以下、幾人かが出迎えに立ち並んでいた。

二

「お客様が見えられました」

小侍が、先にひとり、大手の坂道を駈け上って来て、宗厳のいる庭先から告げた。

宗厳は、朝から心待ちにしていた。

「そうか。今参る」

沓脱から草履をはいて歩み出た。

彼はことしもう四十七歳になる。

妻の由利とのあいだには、長男厳勝、次男厳久のふたりの子もあった。

いつか父となって――初めて亡き父の心がわかる心地も屡であったが――剣の道に志してから、彼はふたたび、幼稚な己に帰ってしまった気がする。

未熟

煩悩

迷妄

邪心

あらゆる痴人のもち前の短所と、身のみ大人になりながらなお、どこか大人になりきれない幼稚なものとが――四十七歳の自分を見まわす時、情けないほど、こびりついている。