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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

もとより石舟斎自身も、年こそよれ出陣して、曠古の大戦に加わる意気であった。

「では、われわれも、こんどの御合戦に加われますか」

心ばかりな酒宴となって、酌みかわす杯のあいだに、人々はどよめき合った。年久しく用いなかった髀肉は疼き、淵に潜んでただ鍛えるのみだった腕は鳴った。

「……時に、この中に、兄の五郎右衛門だけが見えませぬが、如何いたしましたか」

宗矩は、さっきからそれを怪しんでいたが、老人も兄弟も、五郎右衛門については、一言も触れないので、とうとう訊ね出したのである。

父石舟斎に伴われて、鷹ヶ峰の麓で初めて家康に謁した時は――自分と兵庫と、そして兄の五郎右衛門とが、三人してお目見得したものをと、宗矩は当時のことも思い合せながら、その姿の見えない座中を見まわして、一抹のさびしさを覚えたのである。

「ムム、五郎右衛門か。……あれについては、家臣のうちでもまだ知らぬ者もあろう。ちょうどよい折、語っておこう」

石舟斎はそう云うと、胸の傷むような面持であったが、実はと――その夜まで公表されていなかった四男五郎右衛門の所在をうち明けた。

五人の子のうち、ひとり五郎右衛門だけは、さすがの石舟斎も手におえない男だった。