Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
江戸じゅうグルグル廻りましてな。お京様は拙者の許婚、さようさよう許婚で! で苦心いたしました。さよう、こんな事がありましたよ。ええと浅草へ参りました時、五人の浪人にとりまかれ、そのなんだ、ゆすられましたので、そこで拙者うんと睨み、斬るぞ! と申したらバラバラと、ハッハッハッハッ逃げて行きましたよ。弱いさむらいがあったもので」
当然なことには誰一人、金弥の武勇伝を信じない。
その時であった、トントントントンと門をたたく音がした。門番がくぐりを開けてみると、常使いらしい小男が、一通の書面を持っていた。「ご主人様へ」というのである。「どなたからで」と門番がきくと、「道で逢ったお方から」こういう漠然とした返事であった。
「なんだろう、いったい?」と平左衛門、封を切って読み下した。
「お京様のお身の上、さる御方なつかしがられ、お預かり致す」という文面であった。アッと仰天した一同の者、隣室へかけ込んだが、サア事だ! お京はもぬけの殻であった。
どうして! いつの間に? 何者が? お京を誘拐したのだろう? 隣室には家人がいた。しかも四人のさむらいが。
蒼白になったのは臼井金弥、歯がみをしたのは広太郎、眼をたれたのは舞二郎である。