Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
日本の居候
日本の居候
まあどうだいこの部屋は! こう忠三つぶやいたものの、それはその部屋の装飾が、特別に珍しいからではなく、本が余りにも多いからであった。部屋の大きさ五十畳敷きもあろうか、本来なれば見かすむばかりに、広く見えなければならない筈を、恐ろしく狭く見えるのであった。三方が本で埋ずめられている。が、ただし、その間には、古墳から掘り出したと思われる、石のからびつ、古刀剣、曲玉管玉、古甲冑、土偶、木乃伊、弓、矢の根、古い錦襴、銅板、鉄牌、古瓦、化石というような物が、整然と分類されて置かれてあった。それらの物に押しちぢめられ、ひどく座敷が狭いのである。
一人の老人が坐っている。あごひげと眉とが純白で、耳から耳まで白髪が輪取り、顱頂部が美しくはげている。身にまとったはゆるやかな道服、形はまさしく唐風である。その前に朱塗りの机があるがこれもまさしく唐風である。年齢どうでも百歳以上。机を隔てて坐っているのは前髪立ちの少年武士で、のし目の振り袖に葵の定紋、聡明そのもののようなすんだ眼の、珍しいほどの美少年。歌舞伎役者ではあるまいか? いやいや威厳が備わっている。