Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

なぜ動かないんだろう? 道でも間違ったんじゃアないかしら? ……いったいここはどこなんだろう? ああ蓮華寺の裏手だよ、名高い渋沢の藪地前! えらい所へ来てしまった。袴様! 袴様! 袴様!」

もしやと思って呼んでみたが、もちろん返事は来なかった。ただ袴様、袴様と、その甲高い声ばかりが藪へつきあたったばかりである。風が渡るかその藪の木々、ザワザワとそよいで音を立て、その外側をなま白く、輪郭づけていた月光を、チラチラとはね返すばかりであった。依然としてネロは動かない。地面のひと所を見詰めている。気がついたお町、地面を見た。まさしく血だまり、そこにあった。

「おおそれでは袴様は、ともかくここまでは来たものとみえる。そうしてここから? そうしてここから?」どこへ行ったものか。ネロが案内しない限りは、お町には知ることは出来なかった。そうしてネロには案内出来ない。ここを最後に血のしずくが、地面にしたたっていないからである。絶望してペタペタと坐ったが、一方この頃長崎左源太、耕地を町の方へ走っていた。

巻軸の片割れ

長崎左源太走って行く。

「危難はのがれたというものさ。