Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
塚の前後
「オーイ!」と忠三、こぶんを呼んだ。「手めえ達も来い。ついて来い! 先へ行くなよ。後からだ!」
藪地へはいったお町と忠三、「こいつア不思議だ!」と声をあげた。
もちろんハッキリとではなかったが、そうしてひどく狭くもあったが、路らしいものがウネウネと一筋ついていたからである。
塚の前後
周囲十町はたっぷりとあり、喬木灌木生い繁り、加うるに蔓草が縦横にはびこり、一旦うかうかはいろうものなら、容易なことでは出られない。ちょっと形容が大げさだが、いわば人跡未踏ともいうべき、この渋沢の大藪地に、路がついているということは、相当驚いてもよさそうであった。いやそれどころかその路の上に、一本歯の歯跡がついていた。
「あねご!」と忠三はずみ声をした。「わっちア今までうっかりしていたが、女の泣き声が聞こえるというので、世間でやかましい傾城塚、ありゃア確か渋沢の、この藪地の中にある筈ですぜ」
「そうそう」とお町すぐ応じた。
「そうするとお前この路は、その古塚に通じているかもしれない」
「そこへ持って来て一本歯の跡だ。あねご、知れましたね、きゃつの住居!」
「女の泣き声という奴も、塚があいつの住居ときまれば、どうやら胸に落ちようじゃアないか」