Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
木地師
そしてまたもや広太郎、夢中で藪の中を逃げ廻っていると、松明の火が近寄って来た。とまたそこから女の声で「袴様!」と呼ぶ声がした。ヒョイと見ると意外も意外、道服をまとった老人や、葵ご紋の少年武士や、大勢の武士に守られて、杉窪銅兵衛の娘の君尾が、こっちへ走って来るではないか。そこで「君尾殿!」と叫びながら、そっちへ走って行こうとすると、巴御殿へ引きあげる、天草一味の騎馬隊のために、またも間を隔てられてしまった。で、夢中で走っているうちに、うまい具合に藪から出たが、同時に昏倒してしまったのであった。
と、そこへ来かかったのが、異風をした百人の行列で、偶然この手に救われることになった。
木地師
昏倒した袴広太郎の前へ、通りかかった異風行列、しかし異風といったところで、物好きにやっている異風ではなくて、縞の筒袖に革の帯、山袴をはき小刀をたばさみ、厳重を極めた旅よそおい、すなわち脚絆をはき甲掛をつけ、火事場頭巾に似たような、あごまで隠れる頭巾をかぶり、揃って小鎌をひっさげている、都会人らしくない人間なのであった。しかし隊伍は二列縦隊で、おのずから規律がととのっていて、犯しがたく思われた。