Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
流され姫
生命力がないのだろう、少しあがってはすべり落ちる。でもやっぱりあがろうとする。二足三足やっとあがった。とスルスルと下へおりた。またヨチヨチと上へあがった。急に草の上へころがり落ちた。針金のような足をちぢめ、そのまままるくなって動かなくなった。触角がブルブルふるえている。それもとうとう動かなくなった。巨大ないかめしい鋼鉄のような角へ、一筋日の光がからまっている。
「おれには何だか予感がする。ここの平和は破られそうだ」ふと広太郎つぶやいた。すぐ眼の上にお京の顔が、すぐにもこわれそうなもろさを持って、清浄に白々と浮いている。「平和は処女性とは同じようなものだ。きっと破られるという約束のもとに、しばらく生命を保っているものさ」
口に出してはいわなかった。
酸味を帯びた感情が、広太郎の心へ忍び込んで来た。もちろんそれはかれにとっては、苦しくもあればさびしくもあった。
流され姫
お京の膝を枕とし、なお広太郎は考えていた。
「ほんとになんとこの娘は、操々としているんだろう? ほんとになんとこの娘は、神性神性としているんだろう? そうしてなんとこの娘は、処女処女としているんだろう? 人間ばなれがしているではないか! 神様神様としているではないか! だから」