Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
明るく働け
盆にお椀にお茶筒に
ひどく機嫌がよいのである。
明るく働け
鼻唄をうたいながら将右衛門、工場の中を歩きだした。
工場の片隅に娘達が、行儀よく坐ってかたまって、出来あがった器を磨いている。
「ご精が出るの、娘さん達や」将右衛門立ちどまって話しかけた。
「何を磨いているな、お石坊?」
するとお石坊が返辞をした。「はいお頭さん、子持ちお椀を」
「ああなるほど、子持ちお椀か。ほんとにいいなあ、子持ちお椀は。中から中からと子供が出る。そうありたいよ万事万端。なるたけかずはふやさなければいけない。……お杉坊、お杉坊、何を磨いているな?」
お杉という娘が笑いながらいった。「磨いておるのではございません。そそくれを取っておりますので。あのまな板のそそくれを」
「おおおおそうか、それはいい。そそくれというものは邪魔っ気なものだ。邪魔っ気なものは取った方がいい。そうしてまな板というものは、大事な大事なお勝手道具さ。そういう物こそ作らなけりゃアいけねえ。すぐに役立つ物だからなあ。とくさをかけて艶ぶきんをかけて、根つけばかり作るのは、結構なことではないからなあ。……お松坊お松坊何を磨いているな?」