Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

一人碁

なんせ立ち合いの見物相手、思うままの悪口雑言。お政治向きを譏ったり、浮世の間違いをののしったり、善悪両道のトンチンカン、賢愚明暗の行き違い、そういうのをアテッコスッたり! 男女痴態の醜きを、やっつけたりしたのでござるからなあ。……ところがとうとう由井先生に、本心を見破られて説得されて今は武士! が実のところ拙者には、武士というもの移りが悪く、最近いや気がさしてござる。……オットどっこいしゃべりすぎた! あぶないあぶない杯が落ちる」

棹を手もとへ引いたものである。

ぐっと離れて篝火のそばに、ポツネンと一人すわったまま、碁を打っている武士がある。

一人碁

碁を打っているのは奥村八左衛門、由井正雪門下の中では、一番若い人物である。相手なしの一人碁だといって碁盤のある筈がない。白紙へ筋を引いたのが碁盤、碁石といっても同じく紙製、眼のないほどの囲碁好きで、どこへ何用で行こうとも、この二品だけは携えて行く。

「考えてみれば徳川の天下、ひっくり返すのもいいけれど、しかしおれには算砂以来の、名人の棋譜を一人残らず、頭へ入れた方がいいのだがなあ」こんなことを思っている。